花曇りの空

しがないオタク雨野ウズメの独り言

【感想】帝國スタア 伍番星 怜

 

何を隠そう、初めて買ったシチュエーションCDがこのブログタイトルの大正偶像浪漫 帝國スタアシリーズの伍番星 怜です。

聴いたことのある方は分かると思いますが、「初めて」にこれは重い気がしますね。怜の思考がどうも独特です。というか、彼は変人です。死にたがりなのです。私にとっては好みだったし怜の気持ちにも共感できたので、悪くはなかったのですが。あとは、長さ的にも重いかもしれません。二枚組で2時間半ありますからね。約3時間ですよ。映画並みの長さです。1時間くらいでサクッと聞けて甘いシチュCDの方が初めてには良いかもしれません。

 

ここからは、ネタバレ含め本格的に感想を書いていこうと思います。

 

 

怜の幼なじみである主人公。怜に「幼なじみ殿」と呼ばれます。私は現実世界ではある意味、幼なじみが多いので、幼なじみ設定に特別感があるとはなかなか思えないのですが、こんな素敵な声の方が幼なじみだったら、最高ですね。

 

軽く説明しますと、主人公は兵役で戦地へと送られてしまった医者の父親からある劇場のオーナーを任されています。その劇場こそ、怜の活動している大帝国劇場です。怜は帝國スタア伍番星にも関わらずあまり目立つことはしたくないように思えて、なおかつ脚本を書くのが趣味のようです。文学青年って感じですかね。

そんな怜は華族出身で、つまり普通の女学生である主人公とは身分違いなんですよ、はい。身分が違うのに、なぜ幼なじみなのかと言えば、それは主人公の父親は怜の母親の主治医だったから。

 

これくらい説明しておけば良いでしょうか。では今度こそ感想を書いていくことにしましょう。

 

まず、私はこのCDはあるシーンが聴きたくて買ったんですね。そのあるシーンとは第四幕:死の甘美な感触で、ウブな主人公に対して少し厭らしいことを働いてくるシーンです。怜がめっっちゃ耳舐めてくるんですよ!これが聴きたかった!!!(←変態) ダミヘの力って偉大ですよね。いやあ、こういうシーンってどうやって収録されているのでしょうか、気になります。この収録現場を見れるのは、音響監督さんだけなのかなと思うと、音響監督さんになりたくなっちゃいますね。誰か友達でなってくれないかなー。そしてどんな感じなのか教えてくれないかなー。

 

怜くんにはわりと死を感じさせられることをされるのですけど、毒を盛られたのはびっくりでしたね。いや〜ゾクゾクしました(←ドMか)罵られたりとかそういうことをされる訳ではないんですけど、じわじわと精神をおかされていく感じがして。

他にも死を感じさせられるといえば、軍刀を体に撫でつけられたりとかですかね。「冗談だよ」と彼は笑うのですが、冗談ですることか!?ってツッコミたくなります。怜くん、やっぱり普通に見えてときどきおかしいですよ。冗談でそういうことをするのを「普通」だと思っている怜くんにちょっとおかしさを感じます。

 

でも、私も結構、退廃派というか厭世主義的な思考を持ち合わせているので怜が話してくることにはうんうんと頷くばかりでした。主人公はそんな気持ち分からないというようなそぶりを見せていて、まあ、普通はそうですよね…と思いました。でも、私は怜と一緒に死ねるなら死にたい!と思いながらずっと聞いてたんですよ。

そして、まあ1回目の心中ですか?川に落ちました。これは太宰治の自殺未遂を彷彿とさせました。この話では主人公も怜も助かるのですけど。でも、よく助かったなーって感じです。冷たい川に落ちて何ともなく、人って助かるものなのでしょうか。さて、私の気持ちは勝手に早く死にたいという思いで突き進んでるので、「早く怜くん殺してー!」って感じです。

2回目の心中の話。これは、もうクライマックスですね。怜の思いも一番よく聞けますし、死の苦しみについても気づく彼。ですが、もう遅いのです。火のついた舞台は2人を…。「とうとう死ねた!!」って私は思ったのですが、これまた生き残ってしまうんです。なんでだ!私は怜くんと死にたい!!!

でも、このクライマックスでの怜くんは命を投げ出そう、って感じがヒシヒシと伝わってきまして、近藤さんの演技やっぱり凄いと思いました。声が、芯が抜けてる感じで、怜が少し投げやりになってるのが伝わってくるんですよ。いやあ…声優さんって凄いなぁ。

 

厭世主義的な、もしくは懐疑的、退廃的な思考を持っている方は、怜の考えにとても共感できると思います。でも、主人公はそれを理解できないようなので、怜や私と同じ思考を持っている方はむしろ楽しめないかもしれません。やっぱり殺してくれないんだもん。

 

さて、キャストフリトークの話をしましょうか。あまりシチュCDの感想で、フリトの話をしている方を見かけないのですが、なぜでしょうか。私はシチュCDで何が楽しみってこのフリトです。ええ、一番楽しみなのはこれです。

近藤さんのフリトって、なんでしょうか。役の雰囲気の声が残ってますよね。ラジオに出演されるときなどに聴く地の声とは、少し違うんです。まあ2時間半…収録時間は実際それ以上かけていると思うので、役の声がすぐには抜けないんでしょう。役の声の話になったのでこの怜くんがどういう声かと言いますと、気怠げな雰囲気の少し重めの中低音って感じですね。気怠げな喋り方だからなのかな?とってもこう重い声なんですよ。ガトーショコラみたいな重さ。普段はわりとサラサラとしていて癖のない声だと思うので、ずっしりきますね。こういう声、珍しいかもしれません。

さてさて、話を戻しますね。フリトでテンション高いときもあれば落ち着いているときもあると思うのですけど、このフリトは終始落ち着いていますね。怜がそんな感じだからなのかな。大正時代にタイムスリップしたら、どこに行きたいかという質問のときは少しテンション上がっていたように思えましたけど、それも些細でした。

落ち着いたまま終わるのかな、と思ったのですが最後のダミヘを活用した「それじゃあ、バイバイ」がとっても可愛くてそれだけできゅ〜〜んとしちゃいます!最高〜〜!!

ここの感想を書くにあたってフリトを聴き返していたのですが、近藤さんは怜のことを怜くんって呼ぶんですよね。最初は怜って書いてたのに、さっきから無意識に怜くん怜くんって打っちゃってたんですけど、多分近藤さんの呼び方に影響受けてますよね(笑)

 

CD全体の雰囲気としては冬と春の季節の変わり目くらいに聴きたい感じでした。やっぱり、声も内容も量も重くてですね、それと相性がいいのはその時期かなと思います。ちょうど今くらいの時期ですか。あ、でも、このCDの季節としては秋から冬にかけてあたりです。そのあたりに聴いたら個人的には胃もたれしそうです。まあ、このCDを初めて聴いたのはそれくらいの季節でしたが。

 

このシチュCDは、明治後期から大正、昭和初期の純文学が好きな方にはオススメです。ああいう感じの重さが好きな方には嵌るのではないでしょうか。私は純文学といえば夏目漱石が好きなのですが、特に「こころ」が好きです。怜くんの思考はその、先生の手紙に通じるような物があるような気がします。あくまで、気がするだけ、程度なので悪しからず。

 

そして、最近になってから知ったのですが、帝國スタア続編があるんですね。キネマトグラフ。近いうちに入手したいな、と思っています。今度こそは一緒に死ねるのでしょうか。無理かな。

 

 

ところで、友達に借りて初めて近藤さん以外のシチュエーションCDを聴いたのですが、やはり私は近藤さんしか聴けないなと実感しました。私はシチュCDが好きだから、近藤さんのシチュCDを集めているのではなく、近藤さんが好きだからシチュCDを集めているので……

だから、結局シチュCDはキャスト買いしかしてません。たまに、シリーズ通して聞いた方が良いものがあったりしますが、それは私の天敵ですね(笑)

やっぱり近藤さんにハマるまでは声優にさほど興味がなかったので、近藤さん以外の声を聞いていても楽しくないというのもあります。

果たして今後私はキャスト買い以外でシチュCDを買うことがあるのでしょうか…

 

乞うご期待です(?)